[法務研究科法務専攻(法科大学院)講義要綱]


授業科目名 経済法基礎
担当者名 石岡 克俊
単位数 2単位 配当年次 2・3 学期

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1.授業の目的と到達目標  本講義では、現在、わが国経済法の中心的地位を占める独占禁止法の体系とそれを構成する諸規定を概観し、その主要な論点の考察を通じて、独占禁止法の基礎理論の理解と問題解決のための基礎的能力の習得を目的としている。
 受講生諸氏が、独占禁止法上の基本的な考え方を正確に理解すると同時に、主な論点に関する議論状況を的確に把握することを通じて、経済法的な思考と応用可能な分析力・理論構成力の醸成が期待される。
2.関連する科目との関係  経済法・独占禁止法は、一面において、事業者の経済活動を市場メカニズムの機能を有効に発揮させることによってコントロールするものであり、人・法人の経済活動に関わる基本的な法制度(民法、商法、会社法)との関わりを無視することはできない。他方、事業者の経済活動が市場を場として行われ、ここにおける競争が国民経済の発達という公共目的と結びついて理解されることは、政府・公権力の権力行使とこれに関わる法制度(憲法、行政法、刑法)に自ずと関心を向かわせる。
 このように経済法はさまざまな法制度の応用であり、これらの理解は経済法それ自体の把握に役立ち、またその前提でもある。
 本講義以外に、経済法の科目として「経済法実務」及び「経済法総合」が設置され、本講義を前提に展開されることになっている。その他「知的財産法」、「消費者法」、「国際経済法」及び「政府規制産業法」など経済法に極めて関係の深い科目に加え、労働関係法や金融関係法も近時重要な関連科目となってきている。
また、市場や経済の秩序ないしは制度を考察の対象とする本講義の関心と関連して、経済主体の決定や行動、更に望ましい社会的厚生の実現に関する学―経済学とりわけミクロ経済学(とその応用分野としての産業組織論や「法と経済学」)など―にも強い関心と問題意識を持って取り組んでもらいたい。
3.授業の方法  事前に公開・配布する講義案に基づき、独占禁止法の体系と内容を講述したあと、主要な論点につき受講者との対話・討論を通じて知識の確実な定着を図っていく(受講生諸氏の知識定着の度合いを確認するために数回の小テストを予定している)。
 なお、効果的な授業を実現するためにも、受講生諸君による周到な予習が不可欠である。
4.成績評価 講義最終回に実施される記述式試験(50点)、授業内に実施される小テスト(10点*4回=40点)、担当教員の裁量点(10点)の合計100点で採点を行う。なお、裁量点は授業における対話・討論の積極度を勘案して行う。
5.教材 授業は、講師が事前に公開・配布する講義案を基づいて行う。予習には、金井貴嗣『独占禁止法』(青林書院、第2版、2006年)2,835円〔税込〕、金井貴嗣=川濱昇=泉水文雄編著『独占禁止法』(弘文堂、第2版、2006年)4,830円〔税込〕、根岸哲=舟田正之『独占禁止法概説』(有斐閣、第3版、2006年)4,095円〔税込〕を上げておく。詳細はガイダンスで触れる。なお、厚谷襄児=稗貫俊文編『独禁法審決・判例百選〔第6版〕』(別冊ジュリスト161号、2002年)2,730円〔税込〕及び公正取引委員会事務総局編『独占禁止法関係法令集(平成18年版)』(公正取引協会、2006年)4,700円〔税込〕があれば今後有用便宜である。
6.授業内容(細目)
第1回(2008/04/14) [ガイダンス]+[1.資本主義・市場経済・独占禁止法]:講義の目標や、授業の方法、経済法の勉強の仕方など受講に当たっての心構えについて述べた上で、イントロダクションとして慶應義塾における経済法研究の知的伝統と、現代経済における独占禁止法の意義について講義する。
第2回(2008/04/21) [2.目的と構成]:独占禁止法の目的規定の意義とその基本的理解を示した上で、経済法における独占禁止法の理論的位置を確認する。また、同法の基本的構成について解説を加え、全体像を鳥瞰する。
第3回(2008/04/28) [3.法執行体制]:排除措置命令や課徴金納付命令など法違反に対する行政措置とその手続についての解説と、その他刑事及び民事上の規律の概要を説明する。また、主要な法執行機関である公正取引委員会の組織や権限についての解説を行う。
第4回(2008/05/12) [4.規制の対象・手法及び分析の枠組]:独占禁止法上、禁止・制限される行為を検討する前に、同法の基本的な概念について説明し、法目的実現のための手法や、具体的な判断に当たっての基準、分析上の枠組みについて整理する。【第1回小テスト】
第5回(2008/05/19) [5.競争を制限・歪曲する行為の規制(1)-5.1.不公正な取引方法、5.2.再販売価格維持行為]:不公正な取引方法の一般的意義についての説明をした上で、価格制限行為の典型例であり、かつ原則違法類型の一つである再販売価格維持行為について検討する。
第6回(2008/05/26) [5.競争を制限・歪曲する行為の規制(2)-5.3.排他条件付取引・拘束条件付取引、5.4.取引拒絶・差別的取扱]:非価格制限行為を中心にその違法性判断のポイントを検討する。
第7回(2008/06/02) [5.競争を制限・歪曲する行為の規制(3)-5.5.優越的地位の濫用、5.6.不当廉売]:競争を望み得ない取引状況において行われる不当な行為への独占禁止法的接近についての検討と「不公正な取引方法」としての不当廉売規制についての検討を行う。
第8回(2008/06/09) [5.競争を制限・歪曲する行為の規制(4)-5.7.不当顧客誘引・取引強制・取引妨害]:不当な競争手段として位置付けられる顧客誘引行為、取引強制行為、取引妨害行為の意義とその判断基準について検討する。【第2回小テスト】
第9回(2008/06/16) [6.競争を実質的に制限する行為の規制(1)-6.1.私的独占の禁止]:私的独占の行為態様の検討と「一定の取引分野における競争の実質的制限」・「公共の利益」の意義の検討を行う。
第10回(2008/06/23) [6.競争を実質的に制限する行為の規制(2)-6.2.企業集中行為の規制]:合併、合併類似行為、株式保有等に対する規制の内容とその問題点の検討を行う。
第11回(2008/06/30) [6.競争を実質的に制限する行為の規制(3)-6.3.不当な取引制限の禁止]:共同行為(不当な取引制限)の行為態様の検討と諸々の共同行為の類型に関する違法性判断のポイントを解説する。
第12回(2007/07/07) [6.競争を実質的に制限する行為の規制(4)-6.4.事業者団体に対する活動規制]:事業者団体を場として行われる競争制限行為・競争阻害行為についての解説とそれぞれの意義についての検討を行う。【第3回小テスト】
第13回(2007/07/10) [7.過度経済力の集中-7.1.過度経済力集中会社の禁止、7.2.銀行業・保険業の株式保有制限]+[8.高度寡占市場対策-独占的状態に対する措置]:いわゆる一般集中規制と構造規制をめぐる諸論点について検討する。
第14回(2007/07/14) [8.現状と課題-8.1.公共調達における競争の確保、8.2.公益事業に対する競争導入/民営化、8.3.技術革新に伴う競争環境の変化、8.4.経済のグローバル化と国際競争、8.5.多元的価値への配慮と競争]:独占禁止法の現代的課題をいくつかの視点から指摘した上で、個々の規制類型の解説において十分に取り上げられなかったポイントを総括的に取り上げ検討する。【第4回小テスト】
第15回(2007/07/28) 試験:

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